認知症
認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因により認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態をいいます。
認知症のなかで最も多いのは、アルツハイマー型認知症で、次いで脳血管性認知症、他にもレビー小体型認知症や前頭側頭型認知症などもあります。
症状として、記憶障害や見当識障害、理解力や判断力の低下などの中核症状と、妄想や不安・抑うつ・怒りっぽい、幻覚など様々な症状を呈する行動・心理症状があります。
認知症に早期に気づき対応することは、適切な医療や介護サービス・福祉サービスへのつなぎとなります。上記症状や変化に気づいた時は、専門機関へのご相談をおすすめします。
当院の認知症サポート体制
当院では1993年の認知症治療病棟の開設から、認知症デイケア、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所と関連事業を開設し、認知症や高齢者の方々への支援を充実させてきました。2010年には広島県から認知症疾患医療センターの指定を受け、2015年には三原市から認知症初期集中支援事業を受託しています。
認知症の方だけではなく、ご家族や関係者への支援等、活動の場を広げています。
受診までのサポート体制
受診について
当院の受診をご希望の方は、ご本人かご家族等より初診の予約をお取りください。
詳しくはこちらをご参照ください。
認知症初期集中支援事業
「離れて暮らしている親が認知症かもしれない…」
そんなとき、そのままひとりで暮らしていて大丈夫なのか、身近にサポートしてくれる人がいないと病気が進行してしまうのではないか、どこに相談したらよいのかと心配になります。
認知症を患っても何も出来なくなるわけではありません。難しくなった所を、さまざまな制度や支援者の力を借りることで、今までの生活を続けられる場合があります。
このような方への必要な支援を見極め、サービス導入をお手伝いする体制として認知症初期集中支援チームがあります。
認知症初期集中支援チーム
認知症に関する医療・介護の専門職によるチームです。認知症の早期診断・早期対応に向けて支援体制を整えます。具体的には、認知症が疑われる方を訪問し、適切な医療や介護につなげていきます。
三原病院チームは、医師・作業療法士・看護師・介護福祉士で構成されており、訪問するスタッフは認知症ケア専門士の資格も持っています。
- 訪問対象者
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在宅で生活されている40歳以上の認知症の方、またはその疑いのある方で、次のいずれかに該当する方。
- ❶適切な医療・介護サービスを受けていない人、または中断している人
- ❷医療・介護サービスを受けているが、認知症の症状が悪化して悩んでいる人
(例)
一人暮らしの80歳代の男性。歩くのが難しく、近所の人の支援が必要だった。最近、昼夜逆転し支援が難しくなってきたので介護保険のサービスの利用を勧めた。しかし、本人は病院に行きたがらないため、主治医意見書を書いてもらえず申請が出来なかった。
困った家族が地域包括支援センターに相談。集中的な支援が必要と判断され、認知症初期集中支援チームへ依頼があった。チーム員が、何回か訪問しながら病院受診を勧めると「チーム員と一緒なら病院に行く」と言い、受診につながり要支援・要介護認定を申請することができた。
- 費用
- 相談・訪問の費用は無料です。
- 支援の流れ
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- ❶お住まいの地域包括支援センター(高齢者相談センター)または広島県東部認知症疾患医療センターへご相談ください。
- ご本人、ご家族、支援者などから認知症の症状や困りごとや介護で悩んでいること等の相談に応じます。
- 支援が必要とされた場合、認知症初期集中支援チームに依頼されます。
- ❷認知症初期集中支援チームが家庭訪問を行い、在宅生活を続けるために、ご本人やご家族の方と一緒に相談しながら考えます。
- 訪問を重ね、ご本人やご家族の困っていることを把握します。
- チーム員会議(医師、行政保健師、認知症地域支援推進員など)を開催し、必要な支援を専門職の視点で検討します。
- 介護者家族の悩みや思いを聴きながら、介護負担の軽減が図れるように支援します。
- かかりつけ医と連携しながら支援していきます。
- ❸ご本人に必要とされる医療・介護サービスへつなげていきます。
- サービス導入のタイミングと方法を考えていきます。
- ❹ケアマネジャー等に引継ぎを行い、その後はご本人やご家族の状況をモニタリングします。
- 認知症初期集中支援チームの支援期間は、原則6か月以内です。
- 介護サービス利用が必要な場合、ケアマネジャーに引継ぎます。サービスが必要ない場合には、お住まいの地域包括支援センターへ引継ぎます。
- 支援が終了し、2~6か月後にご本人の生活状況をモニタリングしています。
- 担当エリア
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現在、三原市では市から委託を受けた2チームが担当エリアで活動しています。
三原病院チーム
- 三原市東部エリア
(高齢者相談センターどりぃむ) - 三原市南部エリア
(高齢者相談センター三恵苑) - 三原市中央地域包括支援センター
(高齢者相談センター三原市医師会)
小泉病院チーム
- 三原市西部エリア
(高齢者相談センター大空) - 三原市北部エリア
(高齢者相談センターはーもにー)
- 三原市東部エリア
チーム員日記
認知症初期集中支援チームの活動状況を日記風にまとめています。
具体的な体験等については、チーム員の体験に基づいた創作(フィクション)です。ぜひ皆さまの介護の参考にして下さい。
受診後のサポート
鑑別診断後支援
医師の診察とは別に認知症専門の相談員(認知症ケア専門士を有する作業療法士・看護師)が、当院で認知症と診断されたご本人や介護されているご家族からの相談をお受けしております。
認知症により生活のしづらさを感じながらも病院受診へつながらない期間や、認知症の診断直後や初期段階の方は、介護保険サービスの対象となりにくく、地域社会から孤立したり、場合によっては進行を待つだけの『空白の期間』になることがあります。『空白の期間』は、認知症のご本人とご家族の間でさまざまな葛藤を生み、混乱と不安を伴う期間でもあります。
必要な支援者とつながることで、適切な関わり方や情報を得ることができます。認知症の方の不安を軽減することにつながり、またご家族が介護を抱え込まないような環境を整えることもできます。
- 「認知症と診断されたけど…これからどうしたらいか分からない」
- 「認知症の症状に対して、どのように対応したらいいのか分からない」
- 「相談したいけど、どこに相談したいいのか分からない」
当院の専門スタッフがお話を聞きながら、利用できるサービスや情報をお伝えしたり、これからのことを一緒に考えていく等のお手伝いをしております。
相談は無料ですので、気になることやご心配ごとがありましたら、主治医・外来受付・認知症疾患医療センターへお気軽にお問い合わせください。
認知症デイケア
当院には介護保険とは別に、医療保険で利用できる認知症デイケアがあります。
地域での生活のサポート
認知症カフェ
認知症疾患医療センターが行っている認知症カフェは、認知症を患った方同士や支えるご家族同士が繋がり、お互いを支え合う場となることを目指しています。ご家族だけではなく、ご本人と一緒にご参加ください。
美味しいコーヒーを飲みながら楽しい時間を過ごしましょう。
「さんカフェ」についてのお問い合わせは認知症疾患医療センターまでお願いします。
認知症男性介護者家族の会
認知症の方を介護している男性介護者が集まり、日頃の思いを語り、認知症の事や生活についての勉強会をしています。
男性介護者はサロンなどの地域の場にあまり出てこられず、一人で慣れない家事と介護を抱え込んでおられる場合が少なくありません。誰かに話して介護のあり方について前向きに考えることで、暮らしが少しでも楽な方向に変わっていくのではないでしょうか。
このメッセージを読んで興味を持たれた方、連絡をお待ちしています。
「ケアメン隆景」についての問い合わせは認知症疾患医療センターまでお願いします。
介護者カフェ
認知症介護は、介護者の声掛けにちょっとした工夫が必要です。まじめな介護をしても介護者の思いが届かずストレスが溜まり、このような介護でいいのだろうか?と葛藤が生じてきます。
介護者カフェは、認知症の方を介護している人が集まり、お茶を飲みながらおしゃべりをする場所です。介護した経験があるから気持ちを分かり合えます。
介護者カフェに参加して、日頃の思いを語り、他の人の話を聞いて介護のコツを学んでみませんか?認知症の方を介護している方、介護した経験のある方ならどなたでも参加できます。
介護者カフェについての問い合わせは、認知症疾患医療センターまでお願いします。
地域包括支援センター
高齢者のみなさまが住み慣れた地域で安心して自分らしい生活を継続できるよう、お一人おひとりに合わせて、関係機関や制度の利用につなげ、お悩みの解決を支援します。認知症の相談では医療や介護の経験を有した「認知症地域支援推進員」が配置されています。また、地域においては認知症予防講座、認知症サポーター養成講座の開催も行っています。
地域包括支援センターは各地域を担当する機関があります。
居宅介護支援事業所
居宅介護支援事業所は、要支援・要介護認定を受けた方に対して、ケアマネジャー(介護支援専門員)が介護に関わる相談受付や介護保険サービスなどの利用に必要な申請手続き、介護サービス等の利用をスムーズに行えるよう支援いたします。
いつまでも、住み慣れた地域・ご自宅で安心して生活ができるようにサポートさせて頂きます。