特色ある診療体制

活動報告

チーム員日記は認知症初期集中支援チーム員の体験に基づいた創作(フィクション)です。
毎月1日に、全13回シリーズでお送りする第9回です。
第8回の記事はこちらから

 

介護保険を申請するためには、病院を受診し、医師が記載する主治医意見書を提出することと、心身の状態を調査する訪問調査が必要です。

息子の隼人さんや近所の北村さんは、介護保険を申請するために、万次郎さんに病院を受診するように説得し続けていましたが、その度に「どこも悪くないから行かない」と断られていました。50年以上病院を受診していないので主治医が無く、主治医意見書を書いてもらえず、介護保険を申請することが出来ませんでした。

チーム員から、万次郎さんに病院受診についてたずねた時も、「どこも悪くないから行っていない」と言われていました。

チーム員は「万次郎さんが何年も病院に行っていないので、息子さんがとても心配している。息子さんは、お父さんに元気で長生きしてほしいから、一度病院に行って健康診断を受けてほしいと思っている。息子さんのために病院に行ってみてはどうですか?」と話しました。

続けて、「今は必要ないかもしれないけれど、何かあった時に慌てなくて済むように、介護保険を申請したほうが安心です。同年代の方は皆さんそうしています」と伝えました。万次郎さんは、それに対して何も言いませんでした。チーム員はそれ以上の説得はせず、話題も変わったので、万次郎さんがどう思ったのかは分かりませんでした。

数日後、北村さんからチーム員に電話がありました。

「私が、万次郎さんに、『介護保険を申請するために、病院に連れて行ってあげるから、行こう』と話したら、万次郎さんが『チーム員さんと行く約束をしとる』と言っております。本当ですか?」と、少し興奮気味に尋ねられました。

チーム員は万次郎さんに病院を受診するように勧めましたが、はっきりとした返事は聞いていませんでした。しかし、万次郎さんの気持ちが変わってはいけないので、早々に病院に行く準備をしました。チーム員が万次郎さんを迎えに行くと、服を着替え、健康保険証を用意して待っていました。万次郎さんは、認知症の症状はありましたが、出来ることや、覚えていることは沢山ありました。万次郎さんの思いを尊重しながら接するチーム員の話には耳を傾けていることが分かりました。

こうして、50年以上病院受診をしていない万次郎さんは、北村さんとチーム員と一緒に病院に行くことが出来ました。検査の結果、内科的な治療の必要はなく、アルツハイマー型認知症の診断でした。

 

万次郎さんは、チーム員のことを信頼するようになり、チーム員のアドバイスを受け入れて一緒に病院に行くことが出来ました。

 

次回は、介護保険の訪問調査についてお伝えします。

 

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