活動報告
チーム員日記は認知症初期集中支援チーム員の体験に基づいた創作(フィクション)です。
毎月1日に、全13回シリーズでお送りする第6回です。(第5回の記事はこちらから)
今まで何とか生活していた万次郎さんでしたが、近隣の方の支援だけでは難しく、専門のサービスを利用する日が近づきました。
万次郎さんは、一人暮らしなので、昼夜逆転しても夜中に起きているだけなら問題はありませんでした。しかし、万次郎さんは、気になることがあると、北村さんがお風呂に入っていても、就寝していても、北村さんの家に行きました。「飲み物の蓋が開かないからあけてくれ」「新聞が届いてないけど、どうしてだ?」等と夜中に度々行くようになりました。
北村さんはその都度対応をします。飲み物の蓋は開けるとすぐに解決しますが、夜中の3時に新聞が届かないことを万次郎さんに納得させるのはかなりの労力が必要でした。朝6時にシニアカーで歯医者に行こうとしている万次郎さんに、歯医者は開いていない事を理解させるのにも時間がかかりました。
万次郎さんは、シニアカーを使いこなしていましたが、シニアカーは傷だらけになっていました。大きな事故になる前に、シニアカーの運転をやめるように話しましたが、万次郎さんはシニアカーの運転をやめません。
そんなある日、北村さんは、仕事帰りに万次郎さんとシニアカーが溝にはまっている所を見つけました。万次郎さんは自力でその溝から這い上がることが出来ませんでした。
北村さんは『今のままでは、本当に大変なことになる』と不安になり、民生委員と隼人さんに相談し、地域包括支援センターに来てもらいました。万次郎さんに介護保険について説明すると「必要ありません」と言うのみで、詳しい話を聞いてもらえませんでした。
万次郎さんのように、認知症を患い、病院受診や介護サービスを利用した方が良いのに、サービスを受けない人は沢山おられます。そのような方に対応する「認知症初期集中支援チーム」が介入することになりました。
認知症の症状が活発になり、近所の方の支援だけで一人暮らしを続ける事が難しくなりました。 次回は、認知症専門の認知症初期集中支援チームが本格的に訪問を始めたことを伝えていきます。 |