特定医療法人 大慈会 三原病院

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こころと脳のくすり

認知症に使われる薬

こころと脳のくすり

『痴呆』から『認知症』へ

 2004年12月、厚生労働省は『痴呆』の呼称を『認知症』に変更することにしました。日本の痴呆性高齢者は約160万人と言われており、これは20年後にはほぼ倍増すると予測されています。そういった中、痴呆という呼称に蔑視的なニュアンスがあるということで新しい呼称について検討した結果、痴呆は『認知症』に、痴呆性高齢者は『認知症高齢者』に呼び名が変わることになりました。

 


認知症の種類・原因・症状

 詳しい話は「こころと脳の病気について」に譲りますが、大きく分けて「アルツハイマー型」と「脳血管性」があります。脳血管性認知症は脳梗塞をはじめとする全ての脳血管障害(症状が現れないような軽微なものも含める)によって出現する認知症で、記憶・判断・認知などの能力低下といった症状は一定の状態で推移あるいは段階的に悪化するといわれています。アルツハイマー型認知症は、仮説はあるもののはっきりとした原因は分かっていません。また脳血管性と異なり、症状は少しずつ確実に悪化していくといわれています。

 認知症の症状と、歳相応の物忘れとの鑑別はしばしば困難ですが、一般的には「体験そのものが記憶から抜け落ちる」、「物忘れの自覚が薄い」などの場合は認知症の症状である可能性があります。しかしそれは統合失調症やうつ病、脳腫瘍、薬の副作用でも起こりえる症状なので、専門医によるこれらとの鑑別診断が必要になります。

 


認知症の治療薬

 認知症の治療には介護や精神療法(デイケアなど)とともに薬物療法が行われることがありますが、障害を受けた脳そのものを治癒させたり、症状を劇的に改善させることのできる薬は今のところ存在しません。しかし薬物療法によってある程度進行を遅らせたり、徘徊や幻覚・妄想などの周辺症状を抑えたりはできます。そうして落ち着いた生活を取り戻しておいて非薬物療法と組み合わせることで、初期の認知症であれば回復できることがあります。

 現在、日本では唯一のアルツハイマー型認知症治療剤としてアリセプト(塩酸ドネペジル)があります。アルツハイマー型認知症患者では神経伝達物質の一つ「アセチルコリン」が脳内で不足しているといわれており、アリセプトはこれを増加させることで脳の機能を正常に近づけます。投与開始直後は吐き気や下痢、便秘、食欲不振などの副作用が一過性に起こりやすいため、まず1日1回3mgから開始して体を薬に慣れさせ、1~2週間後に5mgに増量してそれを維持します。1日5mgを投与すると徐々に効果が現れ始め、軽症~中等症アルツハイマー型認知症の症状の進行をある程度引き戻せるといわれています。

 周辺症状に対しては、対症療法として以下の薬が使われることがあります。

★幻覚・妄想、興奮、徘徊、せん妄、暴力などに対して
抗精神病薬
(副作用は頭がボーっとする、眠気、ふらつき、体がだるい、口の渇き、便秘など、その他は抗精神病薬の話を参照)

★不安・焦燥、緊張、イライラ感、不眠などに対して
抗不安薬・睡眠薬
(副作用は眠気、ふらつき、せん妄など、連用している時に急にやめると不安や不眠が強くなることがあります)

★うつ状態や意欲低下などに対して
抗うつ薬
(副作用は眠気、一過性の食欲不振、吐き気、下痢・便秘など)
脳血流改善薬
(副作用は食欲不振やめまい、ほてりなど)

 ここで紹介した薬の使い方や副作用は、薬の種類や量によって若干違うことがありますので、詳細は医師または薬剤師にお尋ね下さい。

 


認知症の予防法

 認知症もまた生活習慣が発症に大きく関与していることが分かってきました。野菜・果物・魚・ビタミンEを多く摂取する人は発症の危険率が低く、運動も危険率を下げることが明らかになっています。他にも知的な活動を多くしている人、社会や人と積極的に関わっている人は発症が少ないといわれています。生活習慣の見直しも治療のひとつになるのかもしれません。

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