特定医療法人 大慈会 三原病院

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こころと脳のくすり

抗精神病薬

こころと脳のくすり

抗精神病薬とは

「抗精神病薬の主作用」の話で詳しく説明しますが、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることによって引き起こされるさまざまな症状(興奮、幻覚、幻聴、妄想、せん妄、イライラ、不眠、不安、うつ、気分の変調など)を抑える薬です。

「抗精神病薬」という分類名からも、統合失調症をはじめとする様々な精神病によく使われるというイメージがありますが、躁病、うつ病、その他いろんな病気によって起こる精神症状に対しても幅広く用いられています。飲み続けることで再発を予防する効果もあります。

ここで登場する薬の名前は成分名(当院採用薬の商品名)の形で表記します。

 


抗精神病薬の誕生と発展

抗精神病薬の歴史は、古代インド医学にてインドジャボク(印度蛇木)という生薬が不眠や錯乱などの治療に用いられていたところから始まるとされています。1952年にこのインドジャボクから抽出されて誕生した高血圧治療薬レセルピン(アポプロン)には、同時に鎮静作用があることが明らかになり、そのため精神疾患の治療に用いられるようになりました。翌1953年には、当初は麻酔薬として開発されたクロルプロマジン(ウインタミン)が統合失調症に対して優れた効果を示すことが実証され、多くの国で使われ始めました。その後クロルプロマジンをモデルとした多くのフェノチアジン系抗精神病薬(ヒルナミン、ピーゼットシー、メレリル等)が開発され、次々と世に送り出されていきました。

さらに1958年、下痢止め薬の開発過程で合成された化合物の一つに偶然にも強力な抗精神病作用が認められ、それがハロペリドール(リントン)として登場しました。ハロペリドールはクロルプロマジンより幻覚や妄想を抑える作用が強力で、効果発現も早い等の特徴を持っていたことから、その後これをモデルとしたブチロフェノン系抗精神病薬(ルナプロン、トロペロン、オーラップ等)もまた開発されました。このように現代の抗精神病薬の歴史はようやく半世紀、それほど古いものではありません。

クロルプロマジンやハロペリドールが登場して以来、統合失調症の治療は大きく変わり薬物療法が中心となりましたが、よく効く薬は同時に手足の震えや異常な動き、よだれが出る、ソワソワして落ち着かなくなる(錐体外路症状と言われますが)などの副作用が強いのが問題となってきました。またここまでに登場した薬は、幻覚や興奮などの症状(陽性症状)にはよく効くものの、自閉や意欲減退などの症状(陰性症状)にはほとんど効果が無いという問題も抱えていました。そのため副作用が弱くてもっと幅広い症状に効く新しい抗精神病薬が長い間待ち望まれていました。

 


新しい抗精神病薬

こうした中、日本で1996年に発売されたリスペリドン(リスパダール)は、副作用が比較的少なく、陽性症状にも陰性症状にも有効な薬として開発されました。リスペリドンと、それに少し遅れて登場したペロスピロン(ルーラン)は従来の抗精神病薬とは違う神経伝達物質にも作用することで陰性症状にも効くのだろうと考えられています。そこで脳内で様々に働くいろんな神経伝達物質に作用して、全体のバランスを取るようなものがもっと効果的ではないかという考えで、クエチアピン(セロクエル)、オランザピン(ジプレキサ)が開発されました。これら4つの新しい薬は従来の抗精神病薬(定型抗精神病薬)に対し、「非定型抗精神病薬」と呼ばれています。

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