特定医療法人 大慈会 三原病院

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こころと脳の病気

アルコール依存症

こころと脳の病気

「自分で酒を止められるから、依存症ではない」「 お酒が飲めないから、依存症ではない」
そんな声を良く聞きます。

アルコール依存症は、朝から飲んでいる、 お酒が止められない、といった症状をイメージしますが、もっと広く、 「アルコールを飲むことによって、社会生活に問題を起こす状態」を、 依存症であるという定義もあります。

ですから、
・お酒を飲んで遅刻する、 仕事の効率が上がらない
・お酒のせいで、家族が生活を楽しめない
これも、 既にアルコール依存症が始まっているといえるのです。


アルコールという薬物
      ・・飲めなくてもなる依存症

アルコールは、麻薬や覚せい剤と同じような、「依存性」のある薬物です。合法だから、安全というわけではないのです。

依存症になった、とは脳の回路の中に、アルコールをほしくなる回路ができた状態で、本人の好みや意思とは無関係に欲しい状態ができます。ですから、「アルコール依存症」は、人格ではなく病気なのです。

大酒のみでも依存的ではない人も(ごくまれにですが)いますし、ビール1杯で真っ赤になるのに、依存症になって苦しまれている方も本当にいらっしゃいます。

 


依存症・・・依存とは?

アルコール依存症はかつてアルコール中毒(アル中)と呼ばれていました。依存症と言う名称は、以下の4つの状態のうち依存がもっとも問題の中核となることから、使われるようになりました。

  • 中毒:ある物質が体の中に入って障害が起こった状態
    身体的な症状を表します。
  • 乱用:つかの間の快感を追求するために物質を使用する
    症状に関わらず大量に飲酒する状態
  • 嗜癖:なかなかやめられない、という悪い癖のような状態
  • 依存:薬物による快感を味わうためと、薬物がないことによる不快感から逃れるため、自分ではやめられない状態

アル中というと、大量のお酒を飲んで酔っぱらった状態をイメージします。しかし、病気の本当の問題はアルコール依存症です。お酒を飲んでいなければ、何も問題はありません。しかし飲んでいないときも「依存」への欲求が消えているわけではありません。常にアルコールという薬物への依存の回路が存在しています。

ですから、依存症は飲んでいない状態でもなりたちますし、こころと脳の病気ですので、精神科での治療が行われています。

 


アルコール依存症は死にいたる病気

アルコール依存症にかかり重症になって、アルコールが体から抜けると、幻覚が見えたり、体がショック症状を起こすといった「禁断症状」が起こります。アルコールほしさに暴れたり、場合によっては人のお金を盗んでしまう、という事件になる発展することもあり得ます。

しかしたいがいはそれより先に、内科の病気である、肝臓病や、糖尿病等の病気を引き起こします。中でも糖尿病は、目が見えなくなったり、体が動かなくなったりといった症状を起こすことのある怖い病気です。

また、酔っ払って川に落ちる、家や路上で意識不明のまま倒れている、などの事故もあり、結果としてそのまま死に至ることもあります。

アルコール依存症になる。仕事ができなくなる。時間ができてまた飲む。お金が無くなる。家族が見放し離れていって、一人になる。やがて色々な病気になったり事故に遭ったりして、気が付くと部屋で一人で亡くなっていた。そんな末路を、数多く見る病気です。

依存症はまず、本人に自分が病気なのだ、という意識がありません。しかし、それ以上に、家族自身も「意思が弱いだめな人」と思ってしまうのが、最大の問題です。

また、体調を崩してお酒が飲めず内科の病院に入院し、直ったら元気になってまた飲んでしまう。
そんなサイクルを作ってしまう病院にも、病気の意識が足りない、といえるかもしれません。

 


お酒を止める
   ・・それしか方法はありません!

「もう少し、うまい飲み方をしなさいよ」「一杯だけならいいよね」
よく聞く言葉です。でも、覚せい剤や麻薬の中毒患者に、禁断症状がでて苦しそうだからと、少しだけ飲ませたりするでしょうか?
アルコール依存症も同じです。一杯飲めば、どうしても次が欲しくなる。そのような頭の回路ができている=病気だからです。「意志が弱い」というレベルの問題ではないのです。

ですから、依存症になったら一切お酒は止める。これしか方法はありません。

今日だけ、この一杯だけ、は絶対に本人のためになりません。あとの禁断症状がつらくなり、よりお酒への欲求が高まるだけです。かわいそうだ、と思う家族の気持ちが、逆に本人の病気を悪化させているのです。

依存症が進むと、こっそり隠れて飲む、暴れたり暴力をふるって無理やり酒を要求する、といった行動が出てきます。家族が心を鬼にしても、きっぱりと「止めよう」と言える事が、病気から逃れる第一歩です。

アルコール依存症の方は、「お酒さえ飲まなければいい人」、ということが多いようです。一切お酒を飲まない。好きな方にとっては大変つらい決断ですが、これさえ守れれば、健康で幸せな生活を続ける事が出来るのです。

アルコールも強い「依存性」のある「薬物」です。
薬を止めますか。それとも人間を止めますか。という言葉がありましたが、アルコールの場合も依存症になってしまってからは、まさにこの言葉が当てはまるのです。まず、本人と家族が協力してお酒を断とうとするスタートラインに立つこと。そこから全ては始まります。

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